瓦(SMR)のHDDで全録したらコマ落ちした話
レコーダーのHDD換装ネタを長年書いてきましたが、最近やらかしたのが「安さにつられてSMR(瓦記録)の8TBを全録機に入れた」件です。
私はDBR-M2008にSeagateのST8000DM004(SMR)を入れて8TB化したのですが、6チャンネル同時タイムシフトをさせると、コマ落ちが発生するようになりました。
この時の症状や検証の詳細はこちらの記事で詳しく解説しています。
一方で、CMR(従来記録)のHDDでは同じような使い方をしてもこの手の症状は経験がありません。
録画機の換装用HDD選びは「AVコマンド対応か」ばかり注目されますが、実は「CMRかSMRか」も値段以上に大事だよって話をまとめます。
レグザ系・DIGA系どちらの換装でも共通して使える判断基準にしたつもりです。
CMRとSMRって何が違う?
ざっくり言うと記録方式の違いです。
CMR(従来磁気記録)は、データのトラックを重ねずに書きます。昔ながらの方式です。
SMR(瓦磁気記録)は、屋根瓦のようにトラックの一部を重ねて書くことで記録密度を上げています。同じ枚数のプラッタで容量を稼げるので、大容量モデルが安く作れます。ST8000DM004が8TBなのに激安なのはこれが理由です。
問題はSMRの書き込みの仕組みです。
トラックが重なっているので、データを上書きすると隣のトラックを巻き込みます。そのため一旦キャッシュ領域にデータを逃がしてから、まとめて書き戻す動きをします。
この構造のせいで、SMRは「書き込みが短時間なら速いが、書き込みが続くとキャッシュが枯渇して急激に遅くなる」という二段階の性格を持っています。
実際、ST8000DM004は連続書き込みでWriteが50MB/s、ひどい時には0MB/s近くまで落ち込む実測報告があります。

全録・タイムシフトはSMRが一番苦手な使い方
ここで全録機の動作を考えてみると、複数チャンネルを24時間365日、休みなく書き込み続けています。
つまり「持続的な書き込み負荷」そのもので、SMRが最も苦手とする使用パターンにドンピシャで一致します。
キャッシュが枯渇した状態が常態化しやすく、書き込みが追いつかなくなった分がコマ落ちとして表面化する、という説明が成立します。私のDBR-M2008の症状はまさにこれでした。
通常録画がメインで同時録画が2〜3番組程度なら、書き込みに休みがあるのでSMRでも実用できている報告は多いです。要は「何チャンネル分の書き込みが、どれだけ続くか」で難易度が変わります。
ただし「SMR=全部ダメ」ではない
ここが今回一番伝えたいところです。SMRにも種類があります。
録画向けにチューニングされたSMR
東芝のDT02ABAシリーズの「V」付きモデル(DT02ABA400V/600Vなど)のように、AVコマンドに対応した録画機器向けのSMRがあります。
この手のAV向けモデルはDIGAの換装定番として実績が積み上がっていて、私も通常録画用途では問題なく使えています。
PC用の安いSMR
一方、Seagate BarraCuda(ST8000DM004など)のようなPC用のSMRを録画機に流用するのが、一番危ないパターンです。
安くて魅力的なんですが、AVコマンド非対応でDIGAには使えず、レグザで使えても全録に入れると私のようにコマ落ちと付き合うことになります。
判断基準まとめ
用途別にまとめるとこうなります。
全録・タイムシフト(4ch以上): CMR一択。監視カメラ用のWD Purpleのような、24時間書き込み前提のモデルが安心です。
通常録画(同時2〜3番組まで): CMRが無難。AV向けチューニングのSMR(DT02ABA-V系)なら実績も多く実用圏です。
DIGAへの換装: 上記に加えてAVコマンド対応が必須です。対応確認の方法はST8000DM004の検証記事とHDWU120の検証記事を参照してください。
レグザへの換装: AVコマンドは不問なので、その分CMRかSMRかだけ気にすればOKです。
CMRかSMRか見分ける方法
厄介なことに、メーカーはSMRであることを積極的に書きません。
有名なのがWD Redの騒動で、NAS用のRedがいつの間にかSMRに変更されていたことが発覚して大問題になり、CMR版が「Red Plus」として分離される事態になりました。
見分ける手順はこうです。
1. メーカーのデータシート(仕様表)で「記録方式」欄を確認する
2. 書いていなければ「型番 SMR」でググる
3. それでも不明なら、同容量帯の他モデルより不自然に安いものはSMRを疑う
2026年時点のざっくりした傾向も書いておきます。
・WD Purple(監視カメラ用): CMR
・WD Red Plus / Seagate IronWolf(NAS用): CMR
・Seagate BarraCuda の2TB以上: ほぼSMR
・東芝DT01系: CMR / DT02系: SMR(V付きはAVコマンド対応のAV向け)
用途別のおすすめ
全録・タイムシフト用のCMR代表はWD Purpleです。24時間書き込み前提の監視カメラ用なので、全録との相性は理屈の上でもベストです。
NAS用途で探しているなら、SMR騒動を経てCMRと明示されたWD Red Plusが安心です。
DIGAの通常録画用途なら、AVコマンド対応で換装実績の多い東芝DT02ABA-Vシリーズが定番です(上でリンクした6TBモデル)。
なおDBR-M2008/M3009系は内蔵HDDの認識が8TBまでのようなので、10TB以上は避けてください。
DIGAの換装手順やHDD選びの全体像は、まとめ記事のDIGAのハードディスク交換(換装)を最短で終わらせるために読むページにまとめてあります。
まとめ: 迷ったらCMR
・SMRは「持続的な書き込み」が苦手。全録はその極端な使い方
・AV向けSMR(DT02-V系)とPC用SMR(BarraCuda系)は別物として考える
・全録・タイムシフト用途はCMR(WD Purple等)一択
・DIGAはさらにAVコマンド対応必須
・CMRとの値段差は、コマ落ちしない保険料と思えば安い
安さにつられて瓦を全録に入れた私のような失敗をしないよう、参考にしてもらえればと思います。








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