AIデータセンターの新しい壁は「電力」。建設凍結や送電網5年待ちも

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AIの新しいボトルネックは「電力」

2026年に入って、AIインフラの話題の中心がGPUの調達から「電力」に移ってきています。NVIDIAの最新GPUの供給が落ち着いてきた一方で、今度は「データセンターを動かすための電気が足りない・届かない」という、もっと物理的な壁にぶつかっているためです。

計画中のAIデータセンター、実に3〜5割が凍結

調査会社ガートナーの予測では、2026年の世界のデータセンター電力消費量は前年比26%増の565TWh(テラワット時)に達する見込みです。このうちAI向けサーバーが占める割合は約31%。電力インフラの整備スピードが、この急増に全く追いついていません。

その結果、2026年に稼働を予定していたAIデータセンターの30〜50%が、稼働を断念するか無期限延期に追い込まれています。原因は半導体ではなく、変圧器や変電設備といった「地味だけど納期が長い」重電機器の不足と、送電網への接続許可が下りるまでの遅れです。

住民からの反発も強まっていて、2026年7月にはニューヨーク州がデータセンターの新規建設に対する州全域の一時停止措置を導入。同様の動きは全米120以上の自治体に広がっています。オハイオ州やバージニア州では、稼働してなくても契約した最大電力量ぶんの料金を長期間払い続けなければならない新料金制度も始まりました。

送電網への接続待ちは「5〜7年」

電力網への接続を申請してから実際に通電するまでの待ち時間は、バージニア州北部やアイルランド・ダブリンといった主要拠点で5〜7年に達しているといいます。ゴールドマン・サックスの予測では、米国のデータセンター電力需要は2025年の31GWから2027年には66GWまで急増する見通しですが、送電インフラの整備はこのペースに追いつかず、今後5年間で100GW以上の供給不足が生じるとバンク・オブ・アメリカは分析しています。

AIサーバーは負荷の変動が激しく、電力を数秒単位で急に大量消費するため、地域の送電網を不安定にしやすいという特性もあります。1ラックあたりの消費電力も従来の10kW前後から100〜140kWへと跳ね上がっていて、これまでの空冷では対応しきれず、液冷方式への切り替えが標準になりつつあります。

送電網を経由しない「直接調達」という奇策

5〜7年も待てないハイパースケーラー各社は、送電網を介さずに発電所から直接電力を引く「ビハインド・ザ・メーター」方式に活路を見出しています。先陣を切ったのがAmazon Web Services(AWS)で、2024年3月にペンシルベニア州の原子力発電所に隣接するデータセンターを買収し、原発から直接電力を確保する計画を打ち出しました。

ただしこの手法も規制の壁にぶつかっています。2024年11月、米連邦エネルギー規制委員会(FERC)はAWSへの供給電力引き上げ計画を却下する裁定を下しました。既存の電力網利用者への影響を懸念してのことです。原発の電力を丸ごと確保するというアイデアも、一筋縄ではいかないようです。

まとめ

AIの進化を支えてきたのはこれまで半導体でしたが、次に立ちはだかっているのは電力という、もっと動かしにくいインフラです。データセンターの建設計画が半分近く止まっている状況は、AIサービスの値段やスピードにも、遅かれ早かれ影響してくるかもしれません。

この記事を書いた人

BDレコーダー(パナソニック・東芝)やノートPCを分解してパーツを交換するのが好きなガジェット系の人です。

DIGAのHDDを6TBに増量したり、Panasonic・Lenovo・HP・ASUSなどのノートPCやChromebookのメモリやSSD、Wi-Fiモジュールを換装して快適に使えるようにしています。

最近はUniFiのUCG Maxを導入してネットワークの自由度に感動したり、Claudeなどの生成AIを毎日のように使い倒したりと、興味の幅が広がっています。

実際に触って分かったことを実体験ベースで備忘録も兼ねてまとめています。

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