NVIDIA新GPU「Rubin」量産へ。次のボトルネックは基板とガラス

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半導体の物理的な壁とAIインフラの変化

NVIDIAの次世代AI GPU「Rubin」がいよいよ量産フェーズに入るという話を目にしたので、何が変わるのか調べてみました。Rubinは2024年のComputexで発表されて以来注目されてきたアーキテクチャで、TSMCの3nmプロセス(3NP)と次世代メモリ「HBM4」を採用し、Blackwell世代に比べて大幅な性能向上が見込まれています。具体的には1ダイあたり最大50 sparse petaflops(FP4)に達する設計で、Blackwellの20 petaflopsからおよそ2.5倍の計算性能になる見通しです。

ただ、演算性能が上がる一方で、業界が直面しているのは「パッケージング(後工程)」の壁です。シリコンの微細化による性能向上が限界に近づき、複数のダイを1つのパッケージにまとめる「チップレット技術」が主流になったことで、今度はダイをつなぐ土台となる基板側の性能が全体のボトルネックになってきています。2026年のAIチップ調達を考えるうえで押さえておきたいのが、このパッケージングの限界と、それに対応するために急速に注目されている「ガラス基板」への技術シフトです。

有機基板が抱える「反り」の問題

現在の主力AI GPUであるBlackwell(B100、B200など)の生産を支えているのは、TSMCの2.5Dパッケージング技術「CoWoS-L」です。有機材料の再配線層(RDL)の中にシリコンブリッジを埋め込むことで、高密度かつコストを抑えた接続を実現する技術ですが、この有機材料とシリコンの組み合わせが「反り(Warpage)」という問題を引き起こすことが分かっています。

実際、Blackwellの立ち上げ期(2024年後半)には、シリコンダイやシリコンブリッジ、有機RDL、基板それぞれの熱膨張率(CTE)の違いから、高熱や急激な温度変化にさらされるとパッケージ全体が反ってしまう現象が発生しました。この歪みでミクロン単位の接続端子が剥離したり割れたりして、一時は製造歩留まりが大きく落ち込み、NVIDIAはバンプ設計の変更などを迫られ、量産スケジュールが3〜4か月遅れる事態になりました。

2026年現在、Blackwellの設計上の課題自体は解決され、データセンターへの供給は急速に拡大しています。ただ、供給側の制約は残ったままです。TSMCのCoWoSパッケージング能力は2027年半ばまでほぼ埋まっており、新規注文から納品までのリードタイムは1年を超えています。さらに、2026年に量産される「Rubin Ultra」のような大型の4ダイ構成チップになると、従来の有機基板ベースのCoWoS-Lでは反りを抑えきれない設計上の限界に近づいており、ダイ構成を縮小する案も検討されていると言われています。

次世代の候補「ガラス基板」

有機材料の基板が限界に近づく中、業界が次の選択肢として注目しているのが「ガラス基板」です。従来の有機コア層を精密加工したガラスプレートに置き換えることで、パッケージングの物理的な限界を引き上げようという取り組みが進んでいます。ガラス基板が選ばれる理由は主に次の4点です。

1. 平坦性と寸法安定性

ガラスは有機材料に比べて表面が圧倒的に平らで、熱や湿気による伸縮もわずかです。そのため接続端子の間隔を極限まで狭めることができ、従来の有機基板と比べて最大10倍の配線密度を実現できるとされています。

2. シリコンに近い熱膨張係数

ガラスの熱膨張係数は、有機樹脂よりもシリコンチップ本体に近い性質を持ちます。これにより、2,000Wを超える電力を消費する大型AIチップが稼働中に発熱と冷却を繰り返しても、パッケージ内の歪みが起きにくく、接合部の信頼性が高まります。

3. パネルレベルパッケージング(PLP)による生産効率

ガラスは、従来の円形シリコンウェハー(直径300mm)ではなく、液晶ディスプレイの製造ラインを応用した大きな矩形パネル(例:510mm×515mmなど)で製造できるという利点もあります。1回の製造バッチから切り出せるチップの数が増えるため、生産効率が上がり、単位あたりのコストも下げやすくなります。

4. 光電融合(CPO)との相性

ガラスは光を通す性質があるため、電気信号ではなく光信号でチップ間やボード間を結ぶ「光電融合(CPO)」を導入する際に、光ファイバーや光導波路を基板上に精度良く組み込みやすいという利点もあります。

TSMCとIntel、ガラス基板をめぐる開発競争

このガラス基板をめぐって、2026年現在、TSMCとIntelがそれぞれ異なるアプローチで開発を進めています。

TSMCは、既存のCoWoSプラットフォームの延長として、ガラスを使ったパネルレベルパッケージング技術「CoPoS(Chip-on-Panel-on-Substrate)」の開発を進めています。子会社VisEraのラインを使い、2026年中期にガラスパネル対応のパイロット生産ラインを完成させる計画で、まずはガラスを薄いインターポーザ(中継層)として使う方針です。本格的な量産は2028〜2029年を見込んでおり、IbidenやCorningといった材料・装置サプライヤーとも協力を進めています。

一方Intelは、ファウンドリ事業の立て直しの柱として「Glass Core Substrate(GCS)」を位置づけています。2026年1月には独自技術「EMIB」とガラスコアを組み合わせた試作品を披露し、7月には中国のガラス加工大手Lens Technologyとの提携を発表しました。ニューメキシコ州のリオランチョ工場を世界初のガラス基板量産拠点として整備しており、TSMCより早い2028〜2030年の実用化と外部顧客への提供開始を目指しています。

韓国のSK AbsolicsやSamsung Electronicsも、早ければ2026年末から2027年初頭にかけて限定的な試験生産を計画しており、2026年はガラス基板をめぐる開発競争が本格化する年になりそうです。

企業のインフラ調達で押さえておきたいポイント

こうした半導体パッケージング技術の変化は、AIインフラを調達・運用する企業のITマネージャーにも影響します。押さえておきたいポイントは大きく2つです。

まず、2027年半ばまではTSMCの従来型CoWoS-L(有機基板)の容量不足により、NVIDIA BlackwellやRubin初期ロットの供給制約が続く見込みです。この期間は自社所有のハードウェア調達だけに頼らず、ハイパースケーラーが提供するクラウドインスタンスとの併用を検討しておくと安心です。

次に、2028年以降本格化する「ガラス基板への移行」を見据えた投資計画です。ガラス基板世代のGPUは性能が上がる分、稼働時の消費電力や冷却の要件もさらに厳しくなると見られます。データセンターの増設やサーバーラックの刷新を検討している場合は、現行のBlackwell仕様だけでなく、数年先のガラス基板採用チップの熱密度・電力密度も見込んだ設計にしておくことが、長い目で見たコスト最適化につながりそうです。

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この記事を書いた人

BDレコーダー(パナソニック・東芝)やノートPCを分解してパーツを交換するのが好きなガジェット系の人です。

DIGAのHDDを6TBに増量したり、Panasonic・Lenovo・HP・ASUSなどのノートPCやChromebookのメモリやSSD、Wi-Fiモジュールを換装して快適に使えるようにしています。

最近はUniFiのUCG Maxを導入してネットワークの自由度に感動したり、Claudeなどの生成AIを毎日のように使い倒したりと、興味の幅が広がっています。

実際に触って分かったことを実体験ベースで備忘録も兼ねてまとめています。

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